体育の時間。

「井上くん。」

「あ…中井くん。ごめんね、よろしく。」

「ん。」

ストレッチはだいたい同じ人と組むので、サワと中井のペアは固定。

「…なあ井上くん。」

「なにー?」

「なんで最近誰とも関わらんの」

「…。」

「あれだけ毎日うざいくらい俺に話しかけおったのに。」

「…。」

「つまらんやん。」

「…へ?」

「ひとりはつまらん。…寂しい。」

中井はそう言うと、サワの背中をぐっと押した。

「野上くんとか知らんよ俺は。話したことも関わったこともない。こっち引っ越してきて間もないし、すぐまた引っ越すことになると思うし。」

「…。」

「野上くんなんか怖くないよ。井上くん。俺は強いよ。…たぶん、みんな強いよ。」

「…ありがとう。」