「さっさとしろや!グズ!」

「ご、ごめん!」

廊下から聞こえてきた大きな声。

サワは教室のドアからチラッと覗いた。

スラッとした男子生徒が隣のサラ髪の男子の頭を叩いている。

「またやっとるよ。」

「しゃあないやん。二宮グズやもん。」

クラスの女子がそう話していた。

「二宮?」

サワは女子の輪に入る。女子はもちろん急に入ってきたサワに戸惑っている。

「…え、なに君。」

「あ、ごめん。クラスメートの井上皐和です。」

「いやいや、昨日自己紹介したから知っとるよ。どしたん急に。」

「さっき廊下におった子、二宮くん言うん?なんで叩かれおったん?」