「一向に目を覚まさないんだ。」 「…え?」 「そろそろ目を覚ましてもおかしくないはずなのに、声をかけても揺すっても起きない。これは、身体的な問題ではない。」 「ど…いうこと?」 医者は眉を下げた。 「井上くんは、自らの意思で目を覚まさないということです。」 なにそれ。 「よほどショックが大きいんでしょう。身体ではなく精神の面のダメージが強かったようです。」 俺は言葉を失った。