それでも途中、通りがかりの人に道を聞きながらサワが住んでいるであろうアパートに着いた。

「406…」

4階に上がると、制服を着たひとりの高校生がサワの部屋の前に立っていた。

そいつがチャイムを何度も鳴らすが、一向に誰も出てこない。

俺が見ていたことに気づいた様子のそいつは、こちらを見たがすぐに目を逸らし、封筒を郵便受けに入れてすぐ帰ろうとした。

「あのさっ!」

俺は慌てて呼び止める。

「…なんですか。」

おそらくサワの友達だろう。

「ここってサワの家?井上サワ。」

「…あなた誰ですか。」

怪訝な顔でこちらを見てくる。

「俺サワの友達なんだけど。前の学校で一緒だった。」

そう言った途端、彼の表情が和らいだ。