地下に続く階段を降りると、タバコと楽器の匂いに包み込まれた。
ドアを押し開けると、あの時と変わらない時間が流れていた。
東京に来て、最初に訪れた場所。
あの人と私が始まった場所。
「やっぱり来たな。
あんただけが見つけると思ったよ」
奥の席でギターを爪弾きながら、懐かしい顔のマスターが言った。
「奥、いるよ」
カウンターの奥の通路を顎で示した。
急かす思いと、躊躇する思いで
その場所がずっと遠くのように思えた。
小さな扉を開けた
もみ消され山になったタバコと
氷が溶け乾いたグラス
そのテーブルの前に咥えタバコのあの人がいた
どこを見ているんだかわからないあの人の前に
そっと私は跪いた。
彼はゆっくりと視線を合わせた。
ドアを押し開けると、あの時と変わらない時間が流れていた。
東京に来て、最初に訪れた場所。
あの人と私が始まった場所。
「やっぱり来たな。
あんただけが見つけると思ったよ」
奥の席でギターを爪弾きながら、懐かしい顔のマスターが言った。
「奥、いるよ」
カウンターの奥の通路を顎で示した。
急かす思いと、躊躇する思いで
その場所がずっと遠くのように思えた。
小さな扉を開けた
もみ消され山になったタバコと
氷が溶け乾いたグラス
そのテーブルの前に咥えタバコのあの人がいた
どこを見ているんだかわからないあの人の前に
そっと私は跪いた。
彼はゆっくりと視線を合わせた。


