キモチの欠片


「羽山くん、これどうぞ」

甲斐甲斐しく料理を小皿に入れて小首を傾げながら手渡す桐島さん。
年下相手でも抜かりはないみたい。


「あ、自分で取るから結構です」


葵はサラリとお皿を拒否してる。
あー、桐島さんの顔が引きつってる。
正直、怖い。


「じゃあビールでもどう?」


気を取り直し桐島さんは再チャレンジしているんだけど。


「いえ、今日は車なので結構です」


それも拒否して目の前の烏龍茶をゴクリと飲む。

あーあ、葵は『結構です』のオンパレード。
さすがの女王様も葵相手じゃ手強いかもなぁ。

あたしだったらあんな拒否されたら無理、戦意喪失してしまうと思う。

なんか懸命に頑張ってる桐島さんを見てると可哀想になってくる。
胸元を強調させる服まで着てアピールしているのになぁ。

まっ、あたしには関係ないけど。
ビールをグイッと飲み干した……けど勢い余って口の端からビールが溢れた。