「このハンバーグの味さ、俺のお袋のハンバーグと同じ味なんだ」
「え…?」
い、意味がわからない。
あたしが作るハンバーグと、冬夜先輩のお母さんが作るハンバーグの味が一緒なんて…。
「俺のお袋の元カレが、このハンバーグの味じゃないと食べなかったらしいんだよ。
日向の、親父さんみたいに」
そう言って、苦笑する冬夜先輩。
あたし、昔聞いたことがある。
お母さんがハンバーグを作りながら、こう言ってた。
『このハンバーグはね。お父さんの、想い出のハンバーグなの。
昔よく、大好きな人に作ってもらってたんだって。お母さん、完璧に作れるようになるまで、結構苦労したのよ?』
その時は、『そうなんだ』としか思わなかった。

