「…おかえり。」 初めて美桜に言う、"おかえり"という言葉。 いつも、美桜が俺に言うだけだった。 「……ただいま…」 消え入りそうなほど小さな声で、美桜は言った。 なかなか上がろうとしない美桜にじれったくなって、 「…入れよ。」 と、声をかけた。 美桜は家に入るなり、 「お、お邪魔……します…」 と申し訳なさそうに言った。