『先生、これ、受け取ってください。あたしが作った手作りチョコです』
『え?ほんとに?いいの?』
『もちろんです!堤先生のためだけに作ったんですから』
『ありがとう』
そう言って、堤先生はあたしをひしと抱きしめて……
『僕と一緒にスペインに行こう』
『はい』
『君と一緒に見てみたいものがあるんだ』
『はい』
堤先生が見てみたいサグラダ・ファミリア。
あたしも見てみたい。
堤先生が見てみたいものは、あたしも見てみたい――――……
あたしは妄想に妄想をふくらませた後、はたと我に返った。
ちょっと待って。
先生、誰とスペイン行くんだろ。
まさか。
彼女とか?
そうだよね……いても全然おかしくないよね。
それに気づいたとたん、あたしは体中の力が一気に抜けて、机にへばりついた。

