堤先生はあたしの視線に気づいたのか、振り返りあたしの視線の先を追う。
「ああ、これ」
堤先生は、デスクの上に置いてある『スペインの旅』を手に取った。
「行くんですか?スペイン」
「あ、ああ。行けたらいいなぁと思って。見てみたいものがあるんだよ」
「見てみたいもの?」
「うん。サグラダ・ファミリア」
「サグラダ・ファミリア?」
「そう、ガウディの。……あれ?知らない?」
あたしがこくりとうなずくと、
「もうちょっと勉強しろ」
と言って、あたしの腕をぽんと叩いた。
どきっ。
堤先生の手があたしに触れた。
体が一気に火照る。
頬が真っ赤になっているのがわかった。

