思わぬ展開に鼓動が早くなった。
そろそろと堤先生のデスクに近づくと。
「これ、前回使ったプリント」
「あ、はい」
なんだ。
プリントか。
前回、あたしが風邪で休んだ時の分ね。
「風邪、もう大丈夫か?」
そう言うと堤先生は、あたしの顔を覗き込んだ。
せ、先生、顔、近すぎ……。
「だ、大丈夫です」
「そっか。よかったよかった」
堤先生は緊張しているあたしとは真逆の、穏やかで余裕のある笑みを向けた。
あたしは顔を上げることができず、目をきょろきょろと泳がせていると、ふと、堤先生のデスクの上にあった旅行雑誌が目に留まった。

