「あの」

「何?」

ギロリと女があたしを睨む。

「一つ、訊いていいですか?」

「何よ?」

そしてあたしは前から思っていたことを口に出した。

「私、あなたの名前、知らないのですが。知らない相手にとやかく言われたくないんですけど?」

あたしはそう言って相手を睨み返す。

「あら、あなた私のこと知らないの?」

その途端にまわりの女子達がクスクスと笑い始める。

何がおかしいのか分からない。

「全く知りません」

「あら、少しも?」

リーダー格の女は挑発的に言う。

「はい。他のクラスの方ですから」

「そう、知らないのね。かわいそうだわ」

本当にしつこい。

いいから早く言ってほしいんだけど。