あぁ~、わっかんねぇ。

俺はチョークを持っていない方の手で頭をかく。

後ろからは、龍くんがんばって~、などの女子達からの声援が聞こえてくる。

正直言って、お前等の応援より、綾菜からの応援が聞きたい。

そう思って、綾菜の方を見れば綾菜と目が合う。

口パクで綾菜が何かを言っている。

……最初は、『が』?

……次は、『ん』……『ば』、『れ』……

『がんばれ』

それを言い終えた綾菜はニコッと笑って、視線を黒板に戻した。

なんか、バカみてぇに単純だけど、すげぇ嬉しい。

さっきまでのイライラが全て吹っ飛ぶようだ。

俺って、こんな単純だったか?