折角気を利かせて席を外してくれたイチゴバラさんだけど、結局その元クラスメイトの彼女とはそれ以上会話も続く事なく別れた。


元々仲の良い友だち関係ってわけじゃないもんね。

それに私には、旦那さんも子どももいないわけなんだから、共通の話題もないわけだし。


それに、まさかのイチゴバラさんを“お父さん”発言には、少なからずショックで何も話す気にならないって言うか…。





「…あ、もうお昼かぁ」



12時を知らせる時計の音が、歩く商店街のどこからか聞こえてきた。



いつもなら慎吾くんの家で、料理をしながら軽いランチを一緒に食べたりするんだけど。

今日は予定が変わっちゃったからなぁ。



ていうか、慎吾くんも今日は登校日で居なかったのかな。

て事は、イチゴバラさんの息子さんと慎吾くんって同じ高校なのかもしれないね。





「…あ、たまにはファーストフードでテイクアウトしちゃおう。
ハンバーガーとか珍しいって、お母さん食べてくれるかなぁ」



近くまで通りかかった私は、そのままお昼ご飯にとファーストフード店の方へと足を向けた。