「すぐに陳列してるサラダを確認したけど、リンゴの入ってるものはもちろんなかったわ。
昨日サラダを作った田原さんに訊いたけど、心当たりはないって言うし」



小山さんの説明を、私は胸の奥にモヤモヤを感じながら聞いていた。


昨日は仕事が休みだったので、当然サラダは他の人が作っただろう。


いや、仮に私が仕事だったとしても、今はリンゴサラダなんて作っていない。




「それでね。
そのお客さんに、うちじゃなくて余所で買ったんじゃないかって訊いたんだけど、間違いなくpopoのロゴマークがプリントされてあったんですって」



「そんな………っ」



「ヒナ坊、お前は何かそれについて心当たりはないか?」



久保店長と小山さんの2人にジッと見据えられ、私のモヤモヤは全身にまで広がった。



こっそり慎吾くん用に1つだけ用意したら、すぐにレジ袋に包んで冷蔵庫に隠してたつもりだったんだけどな。


何か手違いで、リンゴの入った方を陳列棚に置いちゃったのかもしれない。

それをたまたま知らないで買っちゃったお客さんが、またあると思って言ってきたんだろうか。



…何にしても、店長にまで話が行っちゃったんだ。


本当の事、話さなくちゃね。



「すみません、実は…」