さかのぼるは数分前――。



「お姉ちゃん!後ろの人だれ?」


後ろ…あぁ、あの怪しい人物か。



「こちらの下衆な野郎は不審者です。」


「んー…とげすってなあに?」



「心根の卑しいことや下劣なこと。また、その人身分の低い者に使う言葉です。悠久様やご家族、悠久様のお友達には控えたほうがよろしいですね。」



興味津々と言った感じで聞く弟に悲しくなる。

何でそんなにスラスラと解説してるんだ!


……やばい、弟の将来が心配だ。



「もっと教えてー!」


「しかし…。」


チラリと困惑した目で訴えた。



「いいよ。勉強にもなるし。ただし、さっきのような言葉は教えなくていいから。」


「あ、お姉ちゃんは隣の人が遊んでくれるって!」