「では、セッテくん、仕事の内容を説明するわね」
早速、マネージャーが話を始める。
「キミには、この安城が担当しているお客さまの結婚式のスタッフとして、働いていただきます」
「はい」
「準備期間から打ち合わせに参加し、当日の進行を、安城とともに取り仕切ってもらいます」
「はい」
セッテは違和感を感じた。
ただのサービス業に、猫が呼ばれることはない。
これは何か裏があるな、そう思った時だった。
まりあが、一通の封筒を取り出した。
「しかし、そのお客様の結婚式は普通のものではありません。
先日、当式場にこんなものが届いたのです」
「これは?」
「脅迫状です」
えっ、とセッテは声をあげそうになってしまった。
その物騒な言葉は、彼女の顔におおよそ似合わなかった。



