妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~

「変に身体を濡らさんほうがいい。ほら、汗は拭いてやったから、着替えろ」

 着ていた単を脱がせ、そはや丸は、ちらりと呉羽の身体を窺った。
 見たところ、情交の跡は見られない。

 呉羽が、少し身体を捩って、そはや丸から離れた。

「さっさと着替えろよ」

「うん・・・・・・」

 背を向けたまま、呉羽はちらりと顔だけ振り向いて、そはや丸から新しい単を受け取った。
 が、身体を捻ると傷に響くらしく、顔をしかめた。

「何やってんだ。・・・・・・しょうがねぇな」

 何をいつまでも背を向けているのかと、そはや丸は訝しく思いながらも、仕方なく呉羽の肩に手をかけた。

「冷たいだろうが、我慢しろ」

 呉羽の素肌に己の肌が極力触れないよう、素早く呉羽を抱き上げ、自分の胸にもたれさせる。

「あっ・・・・・・」

 慌てたように、呉羽が単を引き寄せた。
 抱き寄せた身体が、いつもよりも随分硬い。