妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~

「起きたりして、大丈夫なのかよ」

 そはや丸が言うと、呉羽は文机に視線を戻して、小さく答えた。

「護符を作らないといけなかったし・・・・・・」

 そう言い、よろめきながら立ち上がる。
 手早く着たのだろう、乱れた単に、袿を引っかけただけだ。

 そはや丸は呉羽に近づくと、ひょいと抱き上げた。
 そのまま床に連れて行く。
 ふ、と呉羽が息をついた。

「お前は力持ちだな・・・・・・。右丸は、ふらふらしてた」

「あんな野郎と一緒にしないで欲しいね」

 わざとぶっきらぼうに言い、そはや丸は呉羽を下ろした。

「傷の具合はどうよ。痛むか?」

「大丈夫だと思うけど。でも熱い」

 ひらひらと顔の前で手を振り、風を送る呉羽は、熱が上がりきったのだろう、少し汗ばんだ単を、鬱陶しそうにくつろげた。

「まぁ汗かいたら、そのうち熱も下がるだろう。おい、まだ脱ぐなよ」

 そはや丸は呉羽の身体を後ろから抱くように支え、呉羽の着ている単で彼女の身体を拭いた。
 それから帯を解く。