電車から降り、会社に向かう途中、後ろから声をかけられる。


「お早ようございます」


ディオールの香水の匂いで、誰かすぐに分かる。
秘書課の後輩の村上だ。

今日も相変わらず清楚で可愛らしい。


「岡崎先輩、何か良いことでもあったんですか?」


「え…?」


「なんだかいつも以上に素敵だから。今日の先輩、優しい顔してます」


一瞬考えてしまった。
…あの生意気な子供のせいか?


いや、まずありえない。


「いつもと何も変わらないわよ。ただ、昨日はよく眠れたくらい」

そう、久しぶりに運動したからよ。

そう思い、勝手に自分で納得した。