タマの背中に回していた両手を、ほとんど無意識のうちにするりと下げた。
 手のひらに丸みを帯びた膨らみが触れた。
 その瞬間、タマがビクッと反応した。
 おしりだとわかった瞬間、タマの身体が離れた。
 ぶん殴られると思った。
 恐る恐るタマの顔を見た。
 タマは怒っていなかった。
 
 すぐ近くにあるタマの顔には、初めて見る表情が浮かんでいた。
 紅潮した頬は恥じらいと、慣れないビールのせいもあるだろう。
 潤んだ瞳は、戸惑っているようにも見えた。
 わずかに開いた唇からは、甘い吐息を感じた。
 初めてタマを『女』だと感じた。


 ここからどうすればいいんだろう?
 俺もビールで酔っていたのかも知れない。
 あれこれ考えるよりも先に体が動いた。
 タマの身体を抱き寄せようと、両腕に力を入れた。
 次の瞬間にひっぱたかれると頭に浮かんだ。
 でも腕の力は抜かなかった。
 タマはひっぱたかなかったし、抵抗もしなかった。
 
 俺はタマを抱き寄せて、瞳を見つめた。
 タマもまっすぐに見つめ返してくる。
 まだ戸惑っているようだが、マイナスの感情、怒りや恐れや悲しみなどはないみたいだった。
 顔と顔はどんどん近づき、唇と唇が触れた。
 しばらく重なり合ったままだった唇は、次第に動き始める。
 相手の唇を挟みこむように、くすぐるように、吸い込むように。
 
 そして俺はもっと深く結びつきたいと感じて、舌をタマの唇の間へねじ入れた。
 タマはわずかな吐息を漏らしてから、怯えるように応えてきた。
 二人の舌は最初たどたどしく、そしてすぐに激しく絡み合っった。
 どれくらい時間が経っただろうか。
 不意に二人の唇が離れた。


 あっ……


 ――タマの短くて甘い喘ぎが、至近距離から耳に飛び込んできた。
 頭がか~っとして、耳もじんじんした。
 タマを押し倒し、唇を吸い、胸を揉みしだき、荒々しく服を脱がし、激しくタマを求めた。

 
 ――その後はあまり覚えていない。