けどあたしは、誰かに話を聞いてほしくて。
声をかけてくれたこの人の優しさに触れてしまって。
涙がさらに溢れるばかりだった。
「…話、聞いて」
「は?」
「お願い、話聞くだけでいいからっ」
一人にはなりたくない。
その思いが邪魔をして、あたしはこの人を引き留めてしまった。
迷惑をかけてしまった。
それでもあたしの隣に座ってくれたこの人には感謝だ。
「わかったから、話してみろよ」
はあ、とため息をつきつつ優しい声色で話す。
あたしはゆっくりと話し始めた。
「…あたしね、今日いきなりお母さんの実家の跡継ぎにされちゃったの。あたし何も関係ないのに…。それだけじゃなくて、全然知らない人と一年後には婚約しなきゃいけないし、お父さんにも今の生活にも"さよなら"をしなくちゃいけないしで…あたし、もうどうしたらいいかわかんなくて…」
