若き店主と囚われの薔薇



「俺が、この店のオーナーだ」


有無を言わさない瞳で、少女を見つめる。

七人目の、奴隷。

彼女の歳は、恐らく十六、十七あたりだろう。

この店の奴隷で、今いちばん年上ということになる。

彼女は眉を寄せ、俺に向かって何かを言いかけたかと思うと、押し黙る。

食事の時間は笑顔の絶えない子供達も、今日ばかりは新入りの様子をじっと見ていた。


「…どうした。何か、言いたいことがあるのか」


さすがに少女の歳にもなれば、そろそろこの状況が理解出来るだろう。

自分は奴隷で、その主人に捨てられたこと。

これからこの店で、商品として生きて行くこと。

…このくらいの理解は、出来てもらわないと困る。


少女は長い赤髪を揺らして、小さく口を開いた。



「………もう、ご主人様のもとへは、帰れないの…?」



…俺は目を細め、「…さぁな」と言った。


「お前の『ご主人様』とやらが心変わりでもしない限り、お前はこれからここで生活することになる」


俺の答えに、彼女は唇を噛んだ。