………ああ、こんな夜は。 あなたのおそばにいたいのです、クエイト様。 * 歌が聞こえた。 透き通った、美しい女の声だった。 聞き覚えのあるその声に、俺は目を覚ました。 どうやら歌は、テントの外から聞こえているらしい。 俺は自分のテントから出て、その女の姿を見た。 岩の上に座り、月を仰ぎ、目を閉じ、歌をうたう。 そこにいたのは、赤髪の少女だった。