「……それで?」


話の続きを促した私を、エルガは少しばかり驚いた様子で見てきた。


…私はもう、この世界の人間だ。

もとより、クエイトの奴隷となった時点で、自分がまだ日の当たる場所で生きている人間だとは、思っていなかったけれど。

知れることがあるなら、全て知らなければ。

クエイトのもとへは、きっといつまでもたどり着けない。


「…………」

エルガはしばらくの間私を見つめていたけれど、やがてまた口を開いた。


「…各所に存在する依頼所には、様々な依頼が舞い込んでくる。依頼主は貴族から平民まで、様々だ」


エルガが話してくれる内容を、ひとつも聞き逃さず覚える。

やっと目の前にやってきた、貴重な情報だ。


「依頼所に雇われてる届け屋は、依頼所が請けた依頼の内容によって動く。荷物や伝言を、指定された人間のもとへ届けるために、彼らはどこまででも行く」


…どこまで、でも。

先程来たあの『届け屋』たちは、エルガにあの封筒を届けるために、こんな廃れた村までやってきたということか。