俺は少女に、「見ての通りだ」と言った。
「…ここは、奴隷屋。奴隷を売り、買う場だ」
その目が大きく見開かれたと思えば、少女は「…え?」と乾いた笑みを見せる。
「…そう、ね。私は奴隷だものね。……でも……クエイト様の、奴隷なのよ?」
……捨てられたんだ、と。
言うのにはまだ、早いか。
絶望して人形のようになられたら、それはそれで面倒だ。
俺はそう考えて、「とにかく」と今度はわざとらしくため息をついて見せた。
「早く、服を脱げ。そんな高価なものを着ていたら、すぐに買われるぞ」
「…買われるって、誰に」
「…見知らぬ、誰かだ」
少女は、ビクリと肩を震わせた。
そして、小さな声で「わかったわ…」と返事をする。
「…脱げば、いいんでしょう」
涙も止まり、やっと静かになった彼女に、一息ついた。
振り返ると、子供達が目で空腹を訴えてきている。
俺は笑いながら、小さなパンの入った袋を取り出した。