若き店主と囚われの薔薇



少女は、テンに同情されたと思ったのか、苛立ったように目をそらした。

そして、小さな声で「…いらないわ」と言う。


「それはあなたのものでしょ」

「でも、元気出ないよ」

「いらない」

「……でも」


なかなか引き下がらないテンに、少女はついに顔を上げた。


「いらないって言ってるでしょう!」


荒げられた声に、テンがビクリと肩を揺らす。

眉を下げて、彼は俯いた。


「…………」


おずおずと、テンは再び丸太へ座った。

他の子供達は、気の毒そうにテンを見ている。


赤髪の少女はぐっと唇を噛むと、またローブの中に閉じこもってしまった。


「……………」


普段は楽しいはずの夕飯の時間に、沈黙が落ちる。

俺は机に頬杖をつきながら、彼らを見つめていた。







次の日の昼すぎ、あの貴婦人は昨日言った通りにやってきた。