少女は、テンに同情されたと思ったのか、苛立ったように目をそらした。
そして、小さな声で「…いらないわ」と言う。
「それはあなたのものでしょ」
「でも、元気出ないよ」
「いらない」
「……でも」
なかなか引き下がらないテンに、少女はついに顔を上げた。
「いらないって言ってるでしょう!」
荒げられた声に、テンがビクリと肩を揺らす。
眉を下げて、彼は俯いた。
「…………」
おずおずと、テンは再び丸太へ座った。
他の子供達は、気の毒そうにテンを見ている。
赤髪の少女はぐっと唇を噛むと、またローブの中に閉じこもってしまった。
「……………」
普段は楽しいはずの夕飯の時間に、沈黙が落ちる。
俺は机に頬杖をつきながら、彼らを見つめていた。
*
次の日の昼すぎ、あの貴婦人は昨日言った通りにやってきた。



