「エルガーっ」


おととい、届け屋が持ってきた手紙に目を通していると、奴隷の少年が俺の名前を呼んだ。

トタトタと小さく足音を立てて、俺の元へ駆け寄ってくる。

テントの入り口の近くに立った俺が持っている手紙を見上げて、少年は首を傾げた。


「だれから?」


朝のまぶしい光が、テントの中に射している。

俺は少し笑って、便せんを封筒の中にしまうと、「友達だ」と短く返した。


「友だち?エルガ、友だちがいるの?いいなあ」

「お前にも、いずれできる」


軽く頭を撫でてやると、少年は嬉しそうに目を細めた。

他の子供達は、外の井戸で顔を洗っているはずだ。