若き店主と囚われの薔薇



俺はその足を見て目を細め、そらした。

子供達は、心配そうに少女を見ている。


「…どこか、逃げられるところはあったか」

「…………」


返事はない。

だが、答えなどわかりきっていた。

行く宛が見つかっていれば、ここへ戻ってくるはずがない。


筋肉を使いすぎたのだろう、少女の足はがくがくと小さく震えていた。

その足で一生懸命立って、彼女は手のひらを握りしめる。


「…どこへ行っても、森が続いていて…暗くなればなるほど、何も見えなくなっていった」


声が、震えている。

耐えられなくなったのか、少女は膝から崩れ落ちた。

肩を震わせ、また嗚咽をもらして泣き始める。

俺はその光景を一瞥すると、見飽きたようにまた視線をそらした。