若き店主と囚われの薔薇



「………」

諦めて、また前を向く。

そんな私を、エルガはどこか罰の悪そうな顔で見ていたけれど。


ぼうっと湖を見ているうちに、眠気が襲ってきた。

それに抗えず、エルガの肩に寄りかかって、私は眠りについた。






程なくして眠りについたロジンカをおぶって、俺は子供達が寝ているはずのテントへ戻った。

しかし、そのテントの横に俺のテントが張られているのに気づき、驚く。

そばには、ビストール家の紋章が入った、あの馬車があった。


「……………」


ロジンカをおぶったまま、テントの近くに立ち尽くしていると、奴隷用のテントからエリーが出てきた。

…まだ、夜は明けていないのに。


エリーは俺に気づくと、顔を明るくさせた。


「エルガ!ロジンカちゃんも…!みんなー!ふたりが帰ってきたよ!」


まさか、みんな起きているのか。

テントから、子供達がぞろぞろと出てくる。

特にテンは、よほど心配していたのか、俺におぶられているロジンカを見るなり、じわりと瞳に涙を浮かべた。