「安藤春樹先輩は極度の女たらしよ。」
喫茶店の中がシーンと静まって京香の声だけが聞こえた気がした。
「・・・そんなことっ!」
「ないって言える?あんたは何も不思議に思わなかったの?」
京香の言葉がぐさりと胸の奥に刺さった。
昨日の先輩の言葉がよみがえる。
何人もの女の子の名前を出しては気にしていた。
あと、私に誰にも言うなって言った理由が二股をばらさない理由だったら?
「・・・ごめん、杏。もういいよ。そんな辛い顔しないで。私も噂で聞いただけだから本当か分からないしね。」
「・・・うん。」
私は優しく慰めてくれる京香の言葉に甘えることしか出来なかった。



