「あら、杏?」 「へっ??」 後ろで聞き慣れた声がした。 振り返ると、 「お母さん!?なんでここに?」 傘を両手に持ったお母さんが立っていた。 「なんでって…杏が全然帰ってこないから傘忘れたのかと思って…」 「ちゃんと、持ってるよ。ほら、それ。」 「あっ……!」 私が彼のほうを指さすとお母さんの顔が凍りついた。 「あなた!千尋くん!?」 はい? 千尋くん? それがこの子の名前? ていうか、なんでお母さんはそれを知ってるの?