初恋メランコリック




「茉奈!」


後ろから聞こえる声。
この声は、おそらく凛だろう。



「ごめん待たせたな、今裏門開けるから行こう?」



「いや、そんな待ってないよ。それより凛…」




うっすら汗をかいている凛。

手にはなぜかジャラジャラとした鍵を持って。



ここまでわざわざ急いできてくれたんだ…


あたしの言葉を不安そうな顔で待っている凛。
可愛いなぁ、その顔。

いつもと違ってあどけなさを感じる。



「ありがとね、急いで来てくれて…」



そうやって凛に微笑みながら言う。
すると凛は一瞬驚いたように目を見開き、



「べ、別に茉奈のためなんかじゃないし」



と言って、あたしを誘導するかのように前を歩く


素直じゃないなぁ
さすがツンデレ王子!

まぁ、素直じゃないのは凛だけじゃないんだろうけど


あたしはクスクスと笑いながら、凛の後ろをついて行った