しばらくして、ふと気づいたように直哉が言った。 「飯は?」 『炊飯器がないんです。』 炊飯器がないとお米が炊けない、そんな常識を今始めて知ったかのような顔をして、直哉は一度首を捻った。 「炊飯器買ってこないとだな、」 『…むしろ今までどうしてたんですか。』 「外食ばっかだったからとくに必要なかったんだよ。」