でもなぜ私は女子バスケ部部長をやってるかといいますと。
一年前、私が高校入学したとき。
この学校に女子バスケ部は、存在しなかった。
小学生からバスケをしている私にとって、それはちょっと残念で。
でも創部する勇気なんかさらさらなくて。
うだうだと帰宅部としてバイトにはげむ毎日を送っていた。
元体育会系の私にとってそれはとてつもなくつまらない毎日だった。
何も打ち込むことがない、無気力な生活がこんなにもつまらないことを、私はこのとき初めて知った。
そんなあの日のこと。
同じクラスの話した事のない女子が急に話しかけてきた。
「上田さんってバスケやったことあるんだよね?」
これが美桜と私の最初の会話。
美桜ちゃん、だっけ。
綺麗な顔立ちをしてるなぁ。
第一印象は、こんな感じ。
『あ…うん。一応小学生からやってるよ。』
「そっか。じゃあ一緒にバスケ部作ろう!!」
急過ぎる展開に着いていけなくなった私は、思わず聞き返してしまった。
『…え?今なんて?』
「もうメンバーは四人いるんだよね。あと晴奈ちゃんが入るからもう創部出来ちゃうね!」
『いや入るなんて一言も…』
「ちなみに顧問の先生も決まってるから心配しないで!」
美桜ちゃんは人の話が聞けないらしい。
でも自信ありげに答える美桜ちゃんに、私もちょっとノってきてしまった。
『まあどうせ暇だからいっか。』
「やった!」
『今のははちゃんと聞いてたんだね、美桜ちゃん。』
「う。」
このとき私は
しょうがない、バイト辞めるか。
とかそんなことを考えてたと思う。
まあそんな感じで、創部届けを出しに行くことに。
一年生から創部なんて、ずいぶん生意気な集団だなあと自分でも思う。