「秀は死んでない」

・・・

私の言葉に、

理子は目を見開いた・・・

・・・

確かに秀は撃たれ、

目を瞑った・・・

でも、あんなことで、

秀は死なない・・・

死んだりなんかしない・・・

そう思うことでしか、

自分を保っていられない。

・・・

死んだと認めてしまうと・・・

私が私じゃなくなる・・・

・・・

「私とここから逃げましょう、琴美さん」


「・・・え?」

真剣な顔をした理子。

・・・

「最初からそうすればよかった・・・

何としてでも、貴女をここから

連れ出して見せます」


「そんなこと・・・

貴女は相馬の傍にいたいでしょう?」


「・・・いいえ。

今は琴美さんの事が一番です」