車の中、

オレは署長に質問した。

「署長、犯人に心当たりがあると

言っていましたが、それは一体?

分かるように説明してください」

・・・

オレの言葉に頷いた署長は、

静かに話しはじめた。

・・・

「私がまだ、特殊捜査官の

現場にいた頃・・・

相馬 隆と言う同期の男がいた。

オレの相棒と言ってもいいくらい、

息もぴったりで、俺たちは中でも

群を抜いていた・・・

ある日、大きな事件の捜査中、

私たち夫婦が、犯人に居場所を突き止められ、

命の危険があった・・・

妻は琴美を授かったばかりで

途方に暮れた・・・

どうやったら妻やお腹の子を守れるのか。

そんな時、

相馬夫婦が身代わりに家にいることになった。

子供はまだ2歳だと言うのに、

妻も特殊捜査官の一員だから‥と。

それが仇になった・・・

相馬夫婦は逃げ遅れ、犯人に殺されてしまった。

子供はたまたま祖父母に預けられていたので、

助かったが・・・」