私の婚約者は特殊捜査官

「かしこまりました」

・・・

使用人らしき女性が、

クローゼットの中に消えていった。

「琴美の身の回りの世話をする

理子です。何でも好きな事を、

言ってやってください。

彼女は何でもしてくれますよ」

・・・

隆弘は最後にそう言って、

部屋を出ていった。

・・・

隆弘が出ていった途端、

涙が落ちた。

「あの・・これを」

・・・

クローゼットから出てきた理子が、

ピンクのハンカチを差し出した。

「・・・」

私は受け取らなかった。

・・・

理子は力なく笑った。

・・・

「琴美様・・・

きっと私がここから逃げさせますから。

気を落とさずに、お待ちください」