「どこ行くの?」


何も言わずに歩く大智に聞く。

まだ見ていたかったのに。


「ん?こっちのほう…」


こっちのほうじゃ分からないけど、引かれるまま歩いていく。

階段まで上る。


行き着いた場所は3階にある音楽室でもちろん誰もいない。


ここの窓から校庭が見えた。


「秋山さん、好きです!」


誰かがマイクを持って告白していた。


上手くカップルになった人たちは、記念品がもらえる。


「あれ?あの記念品って、何だっけ?」


薄暗い教室の中でぼんやり見える大智の方を向く。


「さあ…」


大智は記念品に全く興味がないようだ。


そういえば、何のためにここに来たのだろう?