別れ道での約束

こうして話をすると以前の大智と何の変わりもない。

この部屋も女の人の気配を感じられない。


本当に昨日見た大智は人違いだったのかもしれない。


「大智…」


確認しなければ何事もないままで過ごせるかもしれない。


「ん?」


「今の生活に満足している?」


肝心なことを聞けない。


「今?そうだなー、行きたい大学に入れて、やりたい勉強をしている。うん!満足しているよ」


「そうだよね」


今の大智の生活の中に私はいない。それでも、大智は満足出来ている。


「咲良だって、好きな絵の勉強をして、描いているのだから、満足しているんだろ?」