絵美さんは反対隣りに座る人にも元気良く挨拶をする。


「ども…」


素っ気なく答えたその人は絵美さんと同じ美大の3年生の今岡貴也さん。


「ねえ、せっかくだから、今夜は3人でご飯食べましょうよ」


絵美さんの提案に私は快く賛成し、今岡さんは渋々賛成した。

「今日だけですよ」と念押ししながら。


静かな印象を与える今岡さんは1人が好きなのかもしれないと勝手に思った。


お昼前にホテルに到着しているそれぞれチェックインを済ませ、夜の7時にロビーに待ち合わせをして別れた。


夜まで充分な時間がある。


私は部屋に入り、スケッチブックを入れたカバンを持って、札幌の街へ出掛けた。