教授は少し伸びた顎髭をさすって、優しく言う。


「表彰式には俺も付き添うから。いやー、楽しみだな」


自分のことのように喜ぶ教授に思わず笑みが零れる。


「望月さんは画家志望?」


助教授が聞く。


「いえ、絵本作家を目指しています」


大学に入るまでは画家かイラストレーターになりたいと思っていた。


でも、大学に通って一年が経ち、考えが変わった。


幼稚園の子に絵を教えるという体験授業があり、その時の子供たちの輝く瞳を見て、子供に楽しんでもらえる絵本を描きたいと思った。