「いいだろ?行こう。優しくしてあけるからさ」


「本当にやめてください」


私の腕を引っ張る渡部先輩を振り払おうと必死にもがく。


「あれ?望月ちゃん?どうした?」


「え?あ!光太くん!」


「おい…、望月ちゃんを離せよ」


一瞬動きの止まった渡部先輩の手を私の腕から離してくれた。


「光太くん…」


私は光太くんの後ろに隠れた。


「お前、誰だよ?」


渡部先輩は光太くんを睨む。


「友だちだけど。望月ちゃん、一緒に帰ろう」


光太くんは私の背中をそっと押して、渡部先輩の横を通り過ぎる。