渡部先輩と帰るほうが余程危険だ。


「大丈夫です」


「遠慮しなくていいから。照れてるの?」


「……」


これ以上話をしたくない私は無視して、トイレに立った。


戻ってくると渡部先輩は他の席に移動していたので、ホッとする。


飲み会はお開きになり、「女の子は出来るだけ同じ方面の人と帰るようにして」と部長が声掛けする。


同じ方面…誰かいるかな?


「咲良ちゃん、俺が一緒に帰るよ」


周りを見回す私の目の前に渡部先輩が現れた。


「えっ?方面、違いますよね?」


「大丈夫、大丈夫。ほら、行くよ」


腕を引っ張られて、駅の方に歩いていく。