「北海道?へー、随分と遠くにいるんだね」


渡部先輩は見るだけでなく、勝手にリングを外した。


「ちょっ、返してください!」


大事なリングを渡部先輩がなぜか興味津々に見る。


「婚約者、大智って言うんだ」


「えっ?何で?」


何で名前が分かるの?


「ここに彫ってあるよ。もしかして知らなかった?」


渡部先輩が内側を指差したので、覗いた。


daichi & sakura


大智にはめてもらってから、一度も外したことがなかったから、気付かなかった。


渡部先輩から取り返そうと手を伸ばす。