車で2人きりだなんて、もっととんでもなくて危険だ。


「お断りします」


キッパリ言い切った。


「渡部先輩、咲良を誘っても無駄ですよ」


向かいの席に座っていた涼太が口を挟む。


「何でだよ?」


「咲良には婚約者がいるからですよ」


「へえー、婚約者ねー。もしかして、これは婚約指輪なわけ?」


左手の薬指にあるリングを目ざとく見つけて、つつく。


「そうです」


「ちょっと見せてよ」

左手を引っ張られる。


何をするのよ?


「で、その婚約者はどこにいるの?」


「北海道です」