離れた席に座っていたはずなのに、いつの間にか隣りに座っていた。


周りを見ると、みんなあちこちに移動していた。


どう動いていいか分からない私は最初に座った場所にずっといた。


近くにいた人とはそれなりに話をして、それなりに楽しんでいた。


「咲良ちゃん、今度2人で出掛けない?」


ビール片手で少し酔っている渡部先輩が誘ってきた。


「いいえ、行きません」


2人だけで出掛けるなんてとんでもないことだ。


「えー、いいじゃん。ちょっと遠出しようよ。俺の車でさ~、行きたいとこ連れて行ってあげるよ」