手が冷たい理由は、これだったんだ。
僕にはカナが必要だったけど、カナには僕が必要だったんだ。
その証拠に、僕の首元に回っていた冷たい指先が、徐々に温かくなっていく…
そして暫くして泣き止むと、伸ばした足の上に僕を乗せ、グシグシと目を擦って笑った。
その夜――
僕は久し振りに、暖かい落ち着ける場所で眠りについた。
ここには突然鳴り響くクラクションも無ければ、近付いてくる不気味な足音も無い。
ベッドを見上げていると、カナの深い寝息が聞こえ始めた。
僕はそれを確認すると、ベッドのすぐ側に敷かれたマットの上で眠りについた…
「…ダイ――…」
まだ浅い眠りだった僕は、カナの声にハッとして立ち上がった。
ベッドの上の気配を確認するが、カナが起きている様子はない…
僕はまたマットの上に座り、再び眠ろうと目を閉じた――
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