カナ――…
俺はこんなにツマラナイ奴なんだ。
喧嘩の度にカナが言っていた事、本当は全部当たっているんだ。
こんな俺をカナは――
カナの涙の跡を、起こさない様に優しく舐めると、俺はカナの背中側に潜り込んで眠った。
消せない…
どうしても消えない。
あの頃の記憶が、俺の頭を離れないんだ。
翌朝――
目が覚めると、既にカナの背中はそこにはなかった。
慌てて首をもたげて部屋の中を見渡すと、鼻先にコーヒーのほろ苦い匂いがしてきた。
クイっと首を回してキッチンを見ると、カナは朝食の準備をしていた…
そうだよな。
人間の俺ならともかく、まだ仔犬の俺を置き去りにする筈はないよな…
妙に納得すると、俺は布団から這い出し、ブルブルと全身を揺らした。
尻尾が震える音に気付いたカナが、昨夜とは全く違い満面の笑みで振り返った。
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