しかし――
そんな他人の集合体の家族が、いつまでも上手くいく筈もなく…
残業という名の父親の浮気が発覚し、一気に崩壊した。
父親は開き直り、母親は泣き叫び、兄はそんな2人を仲直りさせようと努力していた。
でも俺にとっては、既にあの3人他人で、その様子を冷めた目で見下ろしていた。
何十年も一緒に生活してきた家族ですら、実は偽りに固められていて簡単に傷付け合い崩壊する…
血の繋がりすらない他人との絆など、無いに等しいのだ。
――誰も信じない。
俺はもう誰にも心を許さない。
信じる事さえしなければ、相手に期待さえしなければ、失う物も無ければ悲しむ事もない。
俺はこれから先、誰とも関わらずに独りきりで生きていく。
それが、何よりも幸福な生き方なんだ――
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